クマノザクラと暮す

お花見

  クマノザクラは、お花見のサクラとしての利用が期待されています。個体差はありますが、‘染井吉野’より1~2週間ほど早く開花し、那智勝浦町や串本町では早ければ2月に咲き始めます。‘染井吉野’と同様に開花時に葉が伸びず、花が白~淡紅色なので、見た目はまるで‘染井吉野’です。まだお花見用に整備された場所はないので、土地所有者や道路管理者などに配慮しながら、野生の花を楽しみましょう。

クマノザクラは花弁の色合いに濃淡がある

育成

 誰もが気軽にクマノザクラを楽しむためには、公園などに植える必要があります。また、野生のクマノザクラを保全するために、植林が必要となることもあります。そこで、種子や接木などによって苗木を育てることが重要です。種子からの実生苗は多様性が求められる林地に、接木苗はよく管理された公園にそれぞれ適しています。また、健全に育てるためには、植えた後も病虫害の対策や剪定などの管理が必要です。

クマノザクラの発芽した直後の実生苗

保全

 自然林のクマノザクラをよく観察すると、花をつけるような母樹の数と比べ、小さな若木が少ないことに気がつきます。このままでは次世代は大きく減少することが予想されます。減少要因としては、若木の成長に必要な明るい林地の減少や、シカ害の増加、オオシマザクラや‘染井吉野’など外来のサクラの悪影響などが考えられます。人の手による適切な保全対策によって、これ以上の減少を防ぐことが望まれます。

シェルターから外に伸びたクマノザクラの枝はすぐにシカの食害を受ける

サクラの外来種

 クマノザクラの分布域では、分布域外から持ち込まれたオオシマザクラや‘染井吉野’などがサクラの外来種となります。これらのサクラと交雑を重ねると純粋なクマノザクラは消失するかもしれません。病虫害を蔓延させる危険もあります。串本町の大島などでは、オオシマザクラによるクマノザクラの集団消失が疑われます。人が管理できる公園などをのぞき、自然林では外来種問題を含めた保全対策が求められます。

串本町の大島は全島にオオシマザクラが野生化している