日本クマノザクラの会設立趣意書
クマノザクラは、2018年に学名が発表された野生のサクラの新種で、紀伊半島南部の三重・奈良・和歌山の一部に分布しています。花は淡紅色で‘染井吉野’よりもやや早く開花し、観賞に適した樹木で、‘染井吉野’に代わる観賞木としての利用が期待されています。特に自生地では‘染井吉野’の衰弱が観察されることもあり、観光を目的とした利活用への取り組みも一部で始まっています。
一方、クマノザクラは、これまでヤマザクラと同一視されて、その性質についてはほとんど判っておらず、科学的な知見はわずかです。また、自生地での現況についても信頼できる情報はほとんど公表されておらず、一般の市民に正確な情報が伝わっていません。さらに、クマノザクラは短期間に絶滅が危惧される希少種ではないものの、多くの自生地で後継樹はほとんど見られず、大幅に減少する危険も心配されています。クマノザクラを持続的に利活用するためには、正確な情報を多くの関係者が共有するとともに、野生集団の保全に配慮した適切な利用方法をおこなっていく必要があります。
これまで、発見者でもある設立発起人代表者と、日本樹木医会三重県支部の奥田樹木医・中村樹木医は、三重県熊野市を中心に、クマノザクラの苗木生産を含めて保全と利活用のための研究をおこなってきました。また、和歌山県林業試験場で育種に関する研究が進んでいるほか、NPO法人「熊野さくらの会」など各地で様々な団体が利活用への取り組みを始めています。ただし、これらの個人や団体・組織は個別に活動しており、利活用や保全を効果的に進めるためには連携が必要です。
クマノザクラの自生地は三重・奈良・和歌山の3県をまたがる地域で、各県の中心地とは離れていることもあって、特有の文化が見られます。したがって、クマノザクラの利活用や保全活動を進めていくためには、県や市町村などの行政区分をまたいだ連携が望まれます。クマノザクラは紀伊半島南部の熊野地域を象徴する樹木でもあり、その利活用は地域の経済や文化の発展に大きく貢献することが期待されます。
そこで、クマノザクラの利活用や保全に関わる様々な個人・団体がネットワークでつながり、地域住民に対するサクラの啓発活動や、クマノザクラの個体情報の収集・発信、クマノザクラの保全・植栽計画の立案・提案、クマノザクラの管理指導、クマノザクラの調査・研究、クマノザクラの利用などに関して、協力していくことを目的とし、「日本クマノザクラの会」を設立します。
令和3年2月14日
団体名称:日本クマノザクラの会 Japan Kumano Cherry Association (JKCA)
設立発起人代表者:勝木俊雄(国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所)
会の目的
・地域住民に対するサクラの啓発活動
・クマノザクラの個体情報の収集・発信
・クマノザクラの保全・植栽計画の立案・提案
・クマノザクラの管理指導
・クマノザクラの調査・研究
・クマノザクラの利用
・クマノザクラに関わる関係者の交流
・その他、目的達成のための活動
入会案内
日本クマノザクラの会では、新規の会員(正会員・賛助会員)を募集しています。クマノザクラに興味をもつ個人・団体であれば、誰でも入会できます。リーフレットおよびHPなどを参照して、以下の事務局までご連絡ください。折り返し、詳細な入会案内の資料をお送りします。会員は、観察会や講習会などの会の事業への参加のほか、クマノザクラに関する情報の提供やアドバイス、クマノザクラの同定サービスなどを受けることができます。
●正会員 本会の目的に賛同し、入会した個人及び団体 総会における議決権を有する
入会費/3,000円
年会費 1口/3,000円 (個人1口, 団体1口以上)
●賛助会員 本会の目的に賛同し、年会費を納める個人及び団体
年会費 1口/3,000円 (個人1口, 団体1口以上)
入会金・年会費は申込書提出の7日以内に以下の口座にお支払いください。領収書の発行については、振込依頼書で代用させ、発行を控えさせていただきます。
新宮信用金庫 本店 普通口座 1102255
口座名義 日本クマノザクラの会 シヤ)ニホンクマノザクラノカイ
当会が取得した個人情報について、本人の同意を得た場合を除き、次に定める利用目的の達成に必要な範囲を越えて利用することはありません。
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